緊迫の7日(10/18)劇症肝炎闘病記
段々と調子が良くなっていくピーチー。
気持ちが落ち着いてくると、今回起きたことを振り返る余裕ができてきました。
この日のブログで触れている、自己免疫不全(自己免疫疾患)と言う言葉を初めて聞いたのは、今回の闘病の少し前のことです。ピーチーが癲癇の発作を起こし、脳腫瘍は強く疑われたときに、担当医から別の可能性として示唆されたものでした。
一つ一つのことを改めて考えると、自己免疫不全は多くのことを引き起こした元凶のように思えます。そしておそらくそれは、ピーチーだけでなく、他の子(犬猫に関わらず)起きているものと思われます。
この時の印象の強さから、自己免疫不全については自分なりに調べて、それに絞って ”自己免疫不全の実例と検証” と言う記事を書きました。
以下、当時のブログです。
8月20日 早朝|奇跡の回復
ピーチーはこの2日ほどで、驚くような回復を見せています。
なんと4日前には立つこともできず、食べることもできず、排尿も排便もできずに、死のふちに立っていた子が、今や自力で立ち上がり、今にも小走りをしそうなのです。
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僕たちが選択した、自己免疫不全に絞った治療が功を奏していることはほぼ間違いなく、今後は既に体が受けてしまったダメージからの回復が、全身症状の悪化に追いつけるかどうかに掛かってくるわけです。
ただ、これからまた悪化することも十分に考えられるので、冷や汗ものではありますが。
※自己免疫不全という呼称は、DVMs《どうぶつ医療センター横浜》の医師が用いる用語をそのまま使っています。どうやら一般的には自己免疫疾患と称されることの方が多いようにも思います。時々言葉が混じってしまうかもしれませんが、その時にはごめんなさい。
自己免疫不全(自己免疫疾患)と、ピーチーに起きたこと
調べてみると自己免疫不全は、本来ならば体を守ってくれるはずの免疫機能が暴走して、自分の正常な細胞や組織に攻撃を加えるものだそうです。
リウマチやクローン病、膠原病、バセドウ病も自己免疫疾患なのですね。
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自分の免疫が自分を攻撃するのですから、病名が付いているものだけでなく、体中のあらゆるところが炎症を起こす可能性があり、それこそ”何でもあり”の状態なわけです。
そして、炎症が起きる場所によって、命が掛かってくる。
恐ろしい病変だと思います。
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ピーチーの場合は、まだ完全に診断が確定した訳ではありませんが、少なくとも3つの事が短期間に起きました。
2.死の一歩手前だった、劇症肝炎
3.同時に起きていた多臓器の腫れ
3.歩けないほど重症の、多発性関節炎
これだけだって、病気のデパート状態なのですが、実は、昨日面会した際に、もう一つデパートの品揃えになりそうな現象(疾患)が思い当たりました。
なんと、難聴まで改善か?
ピーチーは2年ほど前から、段々と耳が遠くなり、昨年にはほぼ何も聞こえない状態になっていました。当時気付いて、すぐに主治医に相談したのですが、そのときの回答は、「ほとんどのワンちゃんが13歳頃には難聴が始まり、全く聞こえなくなる子も多いのです」との事。
「老化現象なので、手の打ちようが無い」
とかかりつけの主治医から言われ、「そういうものなのか」と、我が家では諦めていました。
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そのピーチーが面会中、奥の部屋の物音に反応したのです。僕と奥さんは驚いて顔を見合わせました。もしやと思い、耳元で指をパチンと鳴らしてみると、弱いながらも反応が返ってきます。目の端で指の動きが見えているのではないかと思い、完全に死角になる方向で試すと、またも反応。
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家に帰って調べてみると、”自己免疫性内耳障害” という病気もあるようです。
本当にピーチーが音に反応しているのかどうかは、昨日は担当医が不在のために確認ができませんでした。今日の面会で聞いてみたいと思っています。
自己免疫不全(自己免疫疾患)は診断が難しい
ところでこの自己免疫不全ですが、DVMsの担当医(総合内科)からのお話では、そのもの自体を特定診断する方法は無いのだそうです。
起きた病変を、まずは一番オーソドックスな方法で治療し、効果が無ければ次の治療、また次の治療と進み、選択肢を1つずつつぶして行って、最後に残るのが自己免疫不全という呼称なのだとか。
たまたまピーチーは、無関係に思われる病変が同時多発的に生じたために、結論にいたる時間が短かったわけですが、そうでなく、もしも1つだけ発症していたら、今でもその原因を追いかけて右往左往していたはずです。
特に劇症肝炎は、オーソドックスな治療を試している間に、ピーチーの命を奪っていたことでしょう。
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免疫に対しては、「お前、悪さするなよ。しっかりピーチーを守ってくれよ」と言いたくなってしまいます。
僕の身の回りでも、自己免疫疾患と闘っている方(人間です)が何人かいらっしゃいます。闘う相手が自分の体だなんて、きっとやるせない思いなんだろうなと思います。
家族であるピーチーが病に直面し、初めて実感したことです。
罪な病気ですね。自己免疫不全は。
作者注:正確に言うと自己免疫不全は病名ではありません。
――第3章|闘病記を読もう(19/28)・つづく――
この記事について
作者:高栖匡躬
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表紙:今回の表紙は、ピーチーです。
――次話――
ピーチーは死の手前から、こちらに戻ってきたように見えました。
思い返すと、そこには幾つもの “幸運” と “偶然” がありました。
ほんの少しだけ、病気の発症順が違っていたら――
恐らくピーチーは、もうこの世にはいないはずです。
ピーチーの強運を実感しました。
――前話――
ピーチーの状態は更に良くなってきました。
この日は、自力でウンチをして、自分からご飯を食べて。
当り前のことが、当たり前にできることの嬉しさ。
まだ意識障害は残り、血液の諸数値は元には戻っていません。
余談を許さぬ状態のまま。
しかし、僅かに光明が――
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▶ 劇症肝炎闘病記の初話です
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