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今日は月誕生日- 酸素の吸入方法は使い分けて【闘病記】

肺がん闘病記_今日は月誕生日

別れまでの12日(10/18)肺がん闘病記

ピーチーが劇症肝炎を患い、九死に一生を得てからの日々は、我が家にとってはボーナスタイムのようなものでした。

それまでは年に2回、誕生日とクリスマスにだけあげていた大好物のウニは、毎月の月誕生日のお祝いに変わりました。

「今月も生きてくれてありがとう」
心からそう思いました。
生きてくれること。一か月生き延びてくれることが、どんなに奇跡的なことか――
元気な頃には、思いもしませんでした。

1年先は見通しようもありませんでしたが、こうやって1か月1か月を感謝して、お祝いしていったら、いつのまにか1年が過ぎるんじゃないか――、とも思っていました。

以下、当時のブログより。

3月26日 午後|14歳7か月の月誕生日

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皆さん、今日でピーチーは、14歳と7か月になりました。

ピーチーの具合は相変わらずです。と言うか、肺が悪いことを除けば、比較的元気だと言っていいです。もしも肺がカートリッジ式になっていたら、そこだけ交換すれば、ピーチーは新品同様って感じです。

ピーチーは酸素テントの中で寝ていても、起き上がりたくなると、自分からアピールしてきます。ちょっとファスナーを開けると、上の写真のように、身を乗り出します。

こんなときは、大体がオシッコをしたいか、水が飲みたいかです。
テントから出してやったところ、予想通りに水飲み場&トイレのある洗面場へ。

どちらに行くのかと見ていたら、洗面器の方。

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美味しそうに水を飲んで、ペロリと舌を出しました。

酸素の吸入は使い分け

今、酸素は2通りの方法で使っています。

1.酸素テントを使う方法

これは体ごとテントに入り、その中に酸素を満たしてやる方法。
2つ上の写真がそうです。

2.自作の吸入マスクを使う方法

これはマスクで口と鼻を覆って、そこに酸素を直接流してやる方法です。

吸入マスクは、昨日自作したものが結構使い勝手が良さそうなので、穴を空けて固定用のゴムを付けてやりました。

こんな感じになります。

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どうだ、つけ心地は?

酸素はまだ僅か3日の経験ですが、段々と最適な使用方法に絞り込んでいます。
吸入マスクは直接酸素が届くので、こちらの方がピーチーは楽みたいです。それと、テントのビニール越しでなく、直接飼い主と触れ合う事ができるので、ピーチーが安心します。

昨日からピーチーを一人で寝させるのではなく、吸引マスクを使って、飼い主の布団で一緒に寝ることにしました。
ご飯を食べるときや、飼い主が一緒にいられない時には酸素テントを使います。

酸素テントを使ってみた感想ですが、ピーチーは中型犬用のサイズを使っていますが、大型犬用でもよかったと思いました。寝たきりの状態ならば、ジャストサイズで良いのですが。まだ動けていて、その中で食事などの世話をする場合は、空間が狭いと何かと大変です。

飼い主が上半身を入れて体を持ち上げるくらいのスペースが欲しいです。

これが中型犬サイズ

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スケール感が分かりますか?

下の写真は、酸素テントの中で、ロールケーキを食べている時のもの。寝転んで食べているのはたまたまで、まだ寝たきりではありません。

苦しい時には、寝転んだ状態で食事をします
行儀は悪いのですが、まあ仕方ないか

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美味いか?

実は、ボロボロとこぼすのは、ピーチーの責任ではありません。狭い空間なので、ご飯を上げるときの手の向きが、なかなか自由にならないのです。

もしもこれから酸素テントをお使いになるかたは、酸素の供給のことだけでなく、介護のし易さについてもお考えになると良いと思います。

 更に食欲が落ちてきました

ところでピーチーですが、昨夜の時点でとても嗜好性の高かった、ロールケーキへの反応も鈍くなりました。

そこでブログでアドバイスをいただいた、『ラム・グリーン・トライプ』を試したところ、こちらには反応あり、しばらく食べてくれました。

『ラム・グリーン・トライプ』

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これがまた、臭いのですよ

このフードは相当に嗜好性が高いものなのですが、変な添加物は入っていません。ラムの内臓の内容物を加工したもので、ピーチーの主治医も扱っています。

しかし、重大な欠点が一つ。
フリーズドライの状態では、ちょっと匂いがする程度ですが、水で戻すととても臭いです。田舎育ちのうちの奥さんは まるで堆肥の匂い と言っています。

僕も奥さんと同じく、山陰の田舎の出身。堆肥と言われたら、ごもっともと思ってしまいました。しかし、病状が悪化して選択肢が絞られていく中で、このフードはとても心強い援軍です。 

桜の花を部屋に

最後にもうひとつ。

昨日はうちの奥さんが、ピーチーと一緒に良く散歩した公園に行きました。そこはいつも家族でお花見をしていた場所なので、もしも桜が咲いていたら、ピーチーをカートに乗せてお花見に行きたいのだといって、開花の具合を確認しに行ったんです。

うちでは毎年春のお花見は、ピーチーが来て以来の恒例行事でしたからね。

でも、桜の開花はまだまだだったとの事。
しかし、一本だけ咲いていた桜の木の下に、誰かが折ったらしい枝が落ちていたそうで、それを拾って持ち帰ってくれました。

だから昨日は期せずして、室内でのお花見ができました。
去年までは、楽しそうに駆け回っていたのにね、ピーチー。

桜と一緒に写っているのは、ピーチーの大好きな木の棒です。
桜だけだとつまらないので、前衛生け花風に添えて見ました。

来た! 前衛芸術!

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作品名:『春の訪れと、わたくしの木の棒』
作者:ピーチー

 

――第4章|看取りの記録を読もう(13/29)――

この記事について

作者:高栖匡躬
 ▶プロフィール

表紙:今回の表紙は、ピーチーです。

――次話――

日に日に落ちていく食欲。
この日、恐れていたことが起きました。
ピーチーが、大好物のウニを食べないのです。
それはいつもどんな時も、目を輝かせたもの。
――とうとうその日が。
そして――
ピーチーを14年診てくれた主治医からは、
安楽死を示唆する言葉が。

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――前話――

この日、一人で公園に行きました。
ピーチーと14年間通った場所です。
そこには、ピーチーが大好きだった、”木の棒”が隠してありました。
それを見たら、元気が出るかもと思ったのです。
もう一緒に来ることはないと思うと、とても寂しくなりました。

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肺がん闘病記の初話です         
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