別れまでの12日(1/18)肺がん闘病記
劇症肝炎から奇跡的な生還を果たしたピーチー。
一旦はそのまま完全復活をするかと思いましたが、ステロイドの大量投与からの減薬で、離脱症状が現れます。
ステロイドによって失われた筋力は、なかなか回復せず、頬はこけたまま。
しかし、辛抱強くリハビリを続けていました。
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やがて少しずつ体力は戻ってきました。浮き沈みはあるものの、段々とその山は高くなり、谷は浅くなり、回復を実感するように、散歩の距離も伸び、少しずつですが筋肉もついてきました。
ピーチーは気持ちが若くて、8歳くらいまでは初めて会った方から、「まだ子犬ですか?」と訊ねられるくらいせわしなく動き回っていました。
14歳で病気をするまでは、老犬と思えない程よく遊び、良く食べました。多分、何も知らない人からは、10歳くらいに見えていたのではないでしょうか?
病気をして老け込んでしまいましたが、それがようやく14歳の年齢並みの子に戻ろうとしていました――
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最初に現れたのはちょっとして変化でした。
大好きな散歩に出ても、どこかつまらなそうに見えました。
3日前の散歩は、途中で止めて、抱いて家に帰りました。
それからは、マンションの周辺を少し歩く程度。
段々と回復している時期なので、時にはそんなこともあるでしょう。
「少し様子をみようか」
そう思い、注意深く様子を伺っていました。
そして――、この日がやってきました。
以下、当時のブログより。
3月18日|体の震えと食欲不振
このところ具合が今一つのピーチーですが、今日も相変わらずの調子。
ものすごく悪いわけではないのですが、震えが止まらず、息が荒いです。
何となく身の置き所が無いって感じで、尻尾を足の間に入れています。
どこか痛いのかな?
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見た目は、気持ちよさそうに寝ているんですけどね。
ステロイドの副作用? それとも――
食欲も無いわけではないという感じで、自分からは食べませんが、スプーンで食べさせてやると完食します。
立ち上がっては食べないで、へたりこんだ状態で食べます。
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若くて元気な頃だったら、こんな恰好で食べていたら、スリッパで叩いてしかっているところですけどね。
ちょっと心配なので、今日は夕方に病院に行ってきます。
――第4章|看取りの記録を読もう(4/29)――
この記事について
作者:高栖匡躬
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表紙:今回の表紙は、ピーチーです。
――次話――
病院に行ったピーチー。
待ち時間には外に出て、大好きなボールで遊びました。
そしてレントゲン――
診察室で、曇った顔の主治医が言いました。
「肺がんが強く疑われる」
半年前のMRIでは綺麗な肺でした。
何も写っていなかったのです。
それが――
――前話――
ペットとの別れの時、しばしば奇跡のような出来事が起きます。
ずっと具合が悪かった子が、死の前日に元気を取り戻して歩き回ったり、
家族全員が集まる時を待つように、息を引き取ったり。
そんな奇跡は、我が家には起きそうにないと思っていました。
それが――
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