闘病の奇跡、強運の正体(1/4)
本話から4話連続で、我が家の愛犬ピーチーが生れて初めて罹った重病、急性膵炎と胆管閉塞について書きます。
膵炎は大変痛みを伴う重い病気です。特にはショックにより、死に至る事もあるそうです。しかしながら、膵炎(我が家の場合は急性膵炎)はそれほど珍しいものではなく、飼い主が早く気が付けば治る病気です。ネット上には、膵炎から回復した例が沢山見つかります。
我が家の場合は、膵炎には非常に早くに対処できたものの、そこから数日を置いてピーチーは胆管閉塞を併発し、非常に深刻な状況に陥りました。
この記事は当時の体験をまとめた闘病記です。
以下、過去に書いたブログからの転載となりますので、筆者の呼称は”僕”となっています。
【目次】
突然の急性膵炎
――ここからは、ブログからの転載です――
我が家の愛犬、ピーチーは驚くほどの強運の持ち主です。
今日はその強運ついて書こうと思います。
今でも信じられないなと思うことがあります。それはピーチーが11歳になったばかりの2012年のこと。膵炎から胆管閉塞を併発した際に、ざっと考えただけでも9つの幸運が重なり、明日をもしれぬ危険な状態から、元の元気一杯の姿に回復したのです。
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始まりは、ピーチーのちょっとした体の変調からでした。
その日ピーチーは元気が無く、食欲がありませんでした。
喜ぶだろうと思って、大好きなアイスを上げてみたのに、それも食べないのです。おかしいぞと思っていた矢先に、うちの奥さんが前の日に料理で使った、アボカドの種がどこにも見当たらないことに気が付きました。
ごみ箱をひっくり返しても見つかりません。僕たちは、食いしん坊のピーチーが誤って食べたのだと思い、家のすぐ近所の動物病院に連れて行きました。
ぎりぎりの局面 - 最初の幸運
今振り返ると、これが最初の幸運でした。
実はピーチーはこのとき既に、急性膵炎を発症していたのです。
ピーチーはブルテリアという犬種の特徴として、痛みにとても強いため、人間だったらのた打ち回るはずの激痛を、じっとこらえていたようです。
理由もなく食欲が無いという程度のことは、それまでにも何度もあったことです。アボカドの誤飲を疑わなければ、もう1日か2日様子を見ていたでしょう。
もしもそうであれば、病院に行くタイミングを逸しています。その後の経過を考えれば、ここは大変な局面でした。
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緊急と思い、掛かり付けの病院ではなく、家のすぐ近所の動物病院へ――
そこで、バリウム造影でレントゲンを撮ると、胃にそれらしい影がありました。医師は腸までいって閉塞させるとやっかいなので、手術をしましょうと言いました。
人間であれば、次は内視鏡で確認をするところですが、犬用の内視鏡を持っている病院は少ないのです。
しかし、手術は胃を開くことになるために、そう簡単なものではありません。麻酔のリスクもあります。診てもらった医師には申し訳ないのですが、念のためにこの動物病院ではない、罹りつけの主治医に連絡を取ってもらいました。
するとなんと、内視鏡を持っているとのことで、それで取り出すことができるかもしれないと言うのです。
急いで病院を移動しました。
獣医師の連携 - 立て続けの幸運
ここで2つ目と3つ目、4つ目の幸運が起きています。
まず2つ目の幸運は、最初に診てくれた近所の医師が、快く主治医と連携してくれたことです。このようなケースでは、患者を奪われると思う獣医も多いのだそうです。
一緒に行ったうちの奥さんは今でも、「よくあそこで、あっけらかんとあんなお願いができたものね」と言います。よくよく考えれば、随分と失礼なことをしたなと自分でも思うのですが、あの時は必死でした。
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3つめの幸運は言うまでもありません。主治医が内視鏡を持っていたことです。もしも膵炎の中で開腹手術をしていたら、間違いなく命が失われていたはずです。
4つめの幸運は、最初の病院でいち早く、血液検査をしていたことです。
実はここで、既に膵炎の兆候が少しだけ出ていたのですが、このデータが後に主治医が膵炎を特定する切り札になりました。病院を移動する僅かの時間の間に、膵炎を示す値が進行していたからです。
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結局主治医のところでは、内視鏡で見ても、胃にも腸への出口付近にもアボカドの種は見つかりませんでした。そしてピーチーは膵炎に的を絞った治療が迅速に行われました。
1週間ほどの入院で膵炎が回復したピーチーは、すっかり元気になって家に帰りました。それで全て解決したと、僕も奥さんも思っていました。
――しかしそれでは終わりませんでした。
それは試練の始まりだったのです。
――第3章|闘病記を読もう(6/28)・つづく――
この記事について
作者:高栖匡躬
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表紙:今回の表紙は、ピーチーです。
――次話――
急性膵炎から回復したはずのピーチー。
しかし体の中では、胆管閉塞が進んでいました。
病状急変――
自然な死か? それとも安楽死か?――
飼い主が選択したのは二次診療。
しかし、どの病院も予約満杯。
――2週間、とても待てない。
命の期限は目前だったのです。
――前話――
筆者の先代犬ピーチーは、2度重い病気に罹りました。
2度とも主治医からの選択肢は2つ。
緩和治療による“自然な死”と、“安楽死”です。
諦められない飼い主は、それとは違う道、高度医療を選択しました。
幸い戻って来た愛犬――
3つ目の選択肢はあるのです。
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▶ 第3章の初話です
▶ この連載の初話です
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