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胆管閉塞の併発 - 病状急変、危機的な状況へ【闘病記】

胆管閉塞の併発

闘病の奇跡、強運の正体(2/4)

前話|突如の急性膵炎 で4つの幸運を得て、膵炎から回復したピーチー。
ほっとしたのもつかの間でした。

実はその後に、闘病の本番が待ち受けていたのです。
それこそが、ピーチーが命を賭ける事になった病気、胆管閉塞です。
膵炎による内臓の炎症(発熱)が、胆嚢と胆管にダメージを与えていたのです。

しかしここからも、ピーチーの幸運は続きます。

【目次】

危機的状況 - 安楽死か?

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退院から2、3日後の夕方。
僕は仕事で家におらず、たまたまその日だけは、いつも仕事で外に出ているはずの、うちの奥さんが家にいました。そしてピーチーが元気がなさそうなので、観察してみると、お腹周りが黄色いことに気が付きました。明らかに汚れではありません。

時計を見ると、幸いにも主治医の診療時間ぎりぎり。すぐに電話をして待機してもらい、時間外に診てもらうことができました。

やはり黄色かったのは病的なもの。つまり黄疸でした。膵炎のときのデータがあるので、病名の確定は通常よりも迅速です。主治医の診断は、膵炎に端を発する胆管閉塞。
すぐにバイタルを上げる点滴が始まりました。1日違っていたら大変なことになっていました。これが5つ目の幸運です。

しかし、その後がよろしくありません。主治医の元にある治療用の薬剤にピーチーの体は反応せず、病状は悪化の一途です。主治医からは、非常に危険な状態であることを告げられ、”何もせず(緩和治療だけをして)、そのまま自然に見送ってやるのも一つの選択” だと言われました。そして ”安楽死” の提案も。

主治医からはこの時、もしもこれ以上に手を尽くそうとするならば、設備の整った大きな病院に移るしかないと告げられました。

実はこれが6つめの幸運です。

胆管閉塞 - 選択したのは二次診療

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当時は、街の動物病院が大病院と連携する二次診療を、積極的に勧める獣医があまりいなかった頃です。そんな中で最も順位の低い選択肢ながらも、主治医からそれが示されたことで、ピーチーの運命が変わります。

僕と奥さんは、自然な看取りも安楽死も選択せず、大病院への転院を希望しました。
我が家の近くで大病院といえば『DVMsどうぶつ医療センター横浜』、『日本動物高度医療センター -JARMeC-』、『麻布獣医大学 獣医学部』がそれにあたります。
どの病院も、主治医からの紹介状による、二次診療しか受け付けていません。

すぐに主治医に当たってもらいましたが、どこも予約が一杯で、最短でも2週間待ちでした。しかしそんなに待てません。どんなに待ったとしても、数日。1週間はピーチーの体が持ちません。

こんな困った状態の時、僕には持論がありました。
いよいよ困った時は、とにかく関係者にお願いをしてみるのです。
状況がどうにもならなくても、お願いだけはできます。

仕事を休んで、色々なことをしました。
最初にピーチーを診てくれた近所の動物病院の院長先生が、麻布獣医大学の出身であるという事を調べ、お菓子をもって押し掛けました。
「先生の担当だった教授にお願いして、なんとか診てらえないか」
という無謀なものでした。

主治医の動物病院には、入院中のピーチーに毎日面会に行って、その都度空いている病院を探してほしいとお願いをしました。もちろん、お菓子を持参です。
そうしながらも、我が家からは遠い、日本大学や東海大学などにも可能性を広げていきました。

そんなさ中に、また幸運が舞い込みます。7つ目です。

急遽受診可能に - 胆嚢破裂の手前で

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一番待ち時間の長かった『日本動物高度医療センター -JARMeC-』に、なんと突如空きが出ました。

『JARMeC』の待ち時間は、確か1か月以上、恐らく2か月近くはあったはずです。それは恐らく、その日受診する予定だったどこかの家庭の愛犬に、受診ができない何か(恐らく良くないこと)が起きてしまった事を意味しています。

後で分かった話ですが、実はこの時、ピーチーのキャンセル待ちの順位は1番になっていたのです。主治医が毎日何度も、キャンセルの状態を確認してくれていたおかげでした。

僕は、この日に受診することができなかった、一度も会ったこともないワンコに手を合わせて、主治医が運転する車で、ピーチーを連れて『JARMEC』に飛び込みました。

余談ですが、その時僕は『JARMEC』の待ち時間が1か月以上もある理由がわかりました。駐車場に駐まっている車のナンバープレートは、長野、山梨、群馬、静岡などの県外ナンバーが大半です。最後の望みに掛けて、近県中から患者が集まっていたのです。

驚きの検査費用 - 高度医療のネックは高額な医療費

「予め申しあげますが――」
と担当医は言いました。それは掛かる費用についての説明でした。
高度医療には高額な医療費がかかるために、それを患者(飼い主)が負担する医師があるかどうかが、とても重要なファクターなのだそうです。

まずは病状を知るための精密検査(高精度で多項目の血液検査など)が必要で、それだけで約10万円。その後の治療は検査の結果次第。治療が不可能な状態もあり得るとのこと。

検査費用を聞いただけで、その後の治療費がものすごい金額になろうことは、容易に想像ができることでした。

「お願いします」
迷うことはありませんでした。

うろ覚えですが、精密検査には3時間ほどかかったと記憶しています。

一通りの検査後、ピーチーはすぐに集中治療室に入りました。
後で知らされたことですが、この時のピーチーはもう胆嚢破裂の一歩手前だったのです。

 

――第3章|闘病記を読もう(7/28)・つづく――

この記事について

作者:高栖匡躬
 ▶プロフィール

表紙:今回の表紙は、ピーチーです。

――次話――

集中治療室に入ったピーチー
治療方針の説明を受けました。
胆管のバイパス手術か? 内科的な治療に賭けるか?
そんな中、急に黄疸が進みました。
歯茎まで黄色に――
手術しかない!
決断した直後です。
記録中の血液の数値に、ある兆候が現れました。

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――前話――

筆者の愛犬ピーチーはある日、急性膵炎に罹りました。
それはやがて胆管閉塞を併発し、一気に危険な状態に――
安楽死を選択か?――
しかしピーチーは、奇跡的に戻ってきます。
そこには幾つもの幸運がありました。
振り返れば、奇跡は選択肢の結果の一つだったのです。
4話連載の1話目です。

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第3章の初話です 
この連載の初話です
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