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君が旅立つまでのこと

闘病に感じる不安と悩み - 飼い主たちの心の声

闘病に感じる不安や悩み

愛犬が病気になった時――、それも重い病気であったとき――
我々不安な飼い主は少しでも病気のことが知りたくて、ネットで検索を始めます。

最近では分かりやすく書かれた病気の記事は、なかなか上位に表示されず、専門家が書いた専門家向けの記事や、論文、その対極で通り一辺倒のことしか書かれていない、病気辞典のようなものばかり。

色々なワードで試した末に、『病名 闘病記』の2ワード検索でやっと行きつくのが、”愛犬闘病ブログ” です。

愛犬闘病ブログは、専門家には書けない生きた情報

”愛犬闘病ブログ” は文字通り、愛犬家が自身の愛犬の闘病を記録したもの。
以下の記事にもあるように、1300を越える数のブログが存在しています。

この ”愛犬闘病ブログ” のコメント欄の中では、同じ不安、同じ悩みを抱えた飼い主たちが、本音を語り合っています。闘病が始まったばかりの一番不安な時期は、似たような境遇の飼い主さんの言葉が、胸に染みるものです。

以下に2つ、その例をご紹介しましょう。

どちらも、筆者が運営していたブログのコメント欄に投稿された書き込みです。
当記事の趣旨に沿ったものを選びました。

闘病にくじけて、逃げてしまった後悔

――ケース1 コメント執筆者:レウス母さん――

忘れることはありません。
闘病にくじけて、あの日、息子に愛犬の世話を頼んで逃げたこと。

現実から逃げたかったんです。
それに、そんな気分の時に一緒にいても犬にはばれるので、こちらもふーっと息抜きがしたかったてのもあるかな。

今でも罪悪感があります。
いつもじっとこっちを見ている子がいるのに、家を空けたことに。
犬は感じ取るといいますよね。
でも、あの視線、とっても私には重かったんです。

「いなくてよかったよ。お母さんなら耐えられないと思うよ」
息子からの言葉、私にはものすごく救いだった。

でも、なんであの時に姉と買い物(お肉を買いに)出かけたんだろう。
まだ身体は暖かかった。あと10分早く家に帰れたら良かった。

可愛かったなー
最近は良いことばかり、思い出すようにしています。
そして今でも時々、あの子が寂しそうな目でじっと見ているのを思い出します。

注:執筆者の許可を得て、趣旨を損なわないよう、若干の訂正が加えてあります。
注:引用元のブログ下部、コメント欄でご覧になれます。

愛犬の介護は、”血の涙” を流しながら

――ケース2 コメント執筆者:ラフmom――

愛犬が思いもよらず病気になって、悩み苦しみながら闘病生活を送っていくって、まさに 血の涙 を流すって表現なんですよね。
私は主人を闘病の末看取っています。同じように苦悩しながらの闘病生活でした。
しかし、あの時は透明の涙しか流してはいなかった気がするんです。

それはどちらが大変だったとか辛かったって事ではなく。辛く悲しいのはどちらも同じなのだけれど。ラフ(投稿者の愛犬の名)の闘病に関しては、常に血の涙を流しながら考えて決断して、毎日が過ぎていってるように感じます。
うまく言えませんが……

注:執筆者の許可を得て、趣旨を損なわないよう、若干の訂正が加えてあります。
注:引用元のブログ下部、コメント欄でご覧になれます。

愛犬の病気に向き合う、飼い主たちの気持ち

如何でしょうか?
どちらのコメントからも、愛犬の病気に向き合う飼い主たちの心の揺れが、良くわかるのではないかと思います。

毎日が葛藤の中にいて、時に介護から逃げ出したくなる気持ちは、経験者の方ならば一度ならず、経験したことがあるのではないでしょうか?
献身という言葉では済まされない、綺麗ごとでない現実がそこにはあるのです。

2つのコメントの中では、特に ”血の涙” という言葉が心に残ります。
非常に強いメッセージを感じるのと同時に、不思議なことに日常生活ではあまり使われないこのような強い表現が、なぜか愛犬の闘病にはしっくるように感じるのです。

なぜ、強い表現がしっくりくるのか?
次話にて、血の涙 について、今少し考察してみたいと思います。

 

――第1章|犬の闘病とは(4/9)つづく――

この記事について

作者:高栖匡躬
 ▶プロフィール

表紙:ゆずさん(飼い主:まるみさん)

――次話――

愛犬が闘病生活に入り、やがて介護を必要とする頃――
飼い主はやり切れない思いを抱えてしまうものです。
いつか来る別れへの不安。
治してあげられないくやしさ。
病気にさせてしまったという自責。
色々な思いが混じり合って流れる涙があります。

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――前話――

愛犬の闘病時――
全ての決定は飼い主が行います。
深刻な病状ほどその判断は難しく、飼い主は自らへの重圧に孤独感を覚えます。
しかし、立ち止まって考えてみましょう。
今この瞬間、同じような立場にある飼い主の数は、実は驚くほど多いのです。

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第1章の初話です
この連載の初話です
この連載の目次

 

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