別れまでの12日(16/18)肺がん闘病記
ピーチーとの大切な時間は、刻々と過ぎて行きます。
かなり苦しい状態だと言うことは、見るからにわかります。
筆者は、安楽死は肯定しています。
賛成派というほど積極的ではありませんが、尊重すべき重要な選択肢であると思っています。
しかし、どの時点でそれを選択するのか?
それだけが分かりません。
神様が「今だよ」と教えてくれるのならば、迷わずそれを選択するでしょう。
それほどピーチーは、苦しそうに見えました。
以下、当時のブログです。
3月28日 午後|立ち上がろうとする意志
今日のピーチーですが、まだ立ち上がろうとする意志が感じられます。
相当に体力が落ちているので、立たせてやっても数歩しか歩けません。
それでもまた立とうとします。
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どうした、どうした?
とこ行くんだ?
食事の方は
食欲は無く、流動食も飲み込むのがしんどそうです。
ハチミツは口に入れてやると、美味しそうに舌をペロペロだします。
スポーツドリンクも、美味しそうに飲みます。
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おいしいかい?
ハチミツ
安楽死について
お昼頃にピーチーは、ひどくつらそうな時間帯があり、そこで奥さんに安楽死の話をしました。今でも安楽死は選択肢の一つです。
その時です――
ピーチーが不意に、勢いよく上半身を起こす仕草をしました。
まるで元気な時のようでした。
『イヤ!』と言っているようで、驚きました。
「まだ一緒にいたいんだよ、きっと」
奥さんが言いました。
「そうだな」
そこでその話は終わりました。
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ピーチーの体の力は益々失われており、酸素なしで動ける時間がどんどん短くなっています。刻一刻と最後の時が近づいているのだと思います。
2日前に主治医が言っていたように、本人は苦しいのでしょう。
それでも生きようと言う意志が見えるなら、最後までそれに付き合ってあげたいです。
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今日はピーチーの目が虚ろだったのですが、横にクッションを置いて一緒に昼寝をしていたら、急に目がパチリと開いて、まるで「遊んでくれ」とでもいうように、体をよじりはじめました。
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ほら、こんな風に
時々、目に生気が戻って来る瞬間がまだあるんです。
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ふと思いついて、
少しだけ外の風に当たらせてやりました。
ピーチーは分かっているのかな?
思いは巡る - 安楽死を決断するにもリミットが
何がピーチーにとって幸せなのか、なかなか答えは見つかりませんが、苦しみの中で死なせるのは可愛そうな気がします。
しかしそれは、飼い主の一方的な考え方かもしれません。
夕方の18時までが、主治医の診療時間です。
もしも安楽死を希望する場合は、その時間までに決心しなければなりません。
今日はその時間までが、一区切りと考えています。
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18時まで今の状態が変わらなければ、今日は何の決断もせず、夜はいつものように、ピーチーと一緒に寝たいと思います。
結果として、苦しみながらの死が待っているのかもしれません。
しかし――
それも一つの死に方であると思うし、それもまたピーチーらしいとも思います。
――第4章|看取りの記録を読もう(19/29)――
この記事について
作者:高栖匡躬
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表紙:今回の表紙は、ピーチーです。
――次話――
安楽死を決断するリミットを過ぎました。
ピーチーに大きな変化はなく、この日は一緒に寝ることにしました。
それは、ピーチーが悶え苦しみ死ぬかもしれない可能性を、受け入れることでもあります。
しかし――、それもピーチーらしいと思いました。
――前話――
前日の夜は、部屋の中でお花見をしました。
お弁当を買ってきて、シャンパンを開けて。
楽しく――
最後は絶対に泣かないと、ずっと前から決めていました。
笑顔で見送ろうとも決めていました。
意識レベルが下がっていくピーチー
少し寂しい思い――
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