別れまでの12日(13/18)肺がん闘病記
この頃には、もう深刻な状況が定常化していました。
いつ何が起きても不思議ではなく、ピーチーはもう明日を迎える事がないかもしれないと、常に思っていました。
しかしながら飼い主の心は乱れるのではなく、逆に平静でした。むしろ、どんどん平静になっていったと言うべきかもしれません。覚悟という大袈裟なものではなかったように思います。淡々と現実を受け入れていくのです。上手く表現ができませんが、覚悟よりもっと透明感のある不思議な感覚です。
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変に思われるかもしれませんが、我が家にはいつも笑いがありました。
病気になり、動きが制限され、元気な頃と全く違うピーチーが目の前にいて、そのピーチーと対話をして、面白い事があれば笑いました。
ピーチーはその風貌通りのオトボケな性格で、面白い事を色々とやらかすのですが、それは病気になってからも同じでした。
闘病も介護も、言葉にすると大変なのですが、なぜか毎日が面白かったですね。
以下、当時のブログです。
3月27日 夕方|動くとすぐに息が上がる状態
ピーチーの今日の様子を、お知らせします。
前の記事では、ピーチは深刻な状況にあると書きました。
しかし恐らくは、皆さんがそれを読んで想起されるイメージと、今のピーチーはかなり違うと思います。
ピーチーは酸素の吸入によって、十分に体にそれが行きわたると、起き上がって活動したがります。上の写真のようにです。しかし、少し活動するとすぐに酸素切れになって、へたり込んでしまいます。
つまり、いわゆる寝たきりの状態には、まだなっていないのです。
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動きたいんだけど
すぐに息が上がっちゃうんだよね。
酸素テントの中では
酸素テントの中にいる分には、立ち上がってごそごそしています。その仕草は元気な頃そのままです。
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いつもせわしなく動きます。
外に出たいようです。
遊びたいねえ
呼吸が苦しいだけなのに
ピーチーは呼吸が苦しい以外は、健康な犬と何ら変わりません。
前にも書きましたが、もしも肺がカートリッジ式だったら、どんなに良いかって思います。交換用と万が一の予備用も含めて、うちは2セットは買いますね。
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それと今日から、食事を猫用のおやつに切り替えました。『チャオちゅ~る』という商品で、友人のMさんから紹介されました。魚や肉をペースト状にしたもので、高カロリーなので少量でも栄養補給ができるのだそう。、小分けのチューブに入れてあるので、使い勝手がいいです。
※Mさんは、保護活動家として有名な三毛ランジェロさん。30年来の親友です。
※このブログを書いていた当時は、まだ名前は公開していなくてMさんでした。
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これがその、チャオチュール
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今日の朝は、ピーチーは『チャオちゅ~る』を2本と、昨日の残りのウニのペーストを食べました。もちろん、ウニはシリンジを使ってです。
食後にはデザートで、ハチミツのチューブも食べました。
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実はMさんとは現在、あるプロジェクトで医療機器の開発をやっています。今は人間用ですが、将来は犬用にも転用したいと思っています。
思い通りの成果が得られるならば、免疫系の疾患にも有効なはずです。
残念ながらピーチーには間に合いませんでしたけれど、いつか皆さんの大切な愛犬には、使ってもらえる日がきたらいいなと思っています。
ピーチーが罹った病気を治るようにするのが、もしかするとこれからの、人生の目標の一つになるのかもしれません。
――第4章|看取りの記録を読もう(16/29)――
この記事について
作者:高栖匡躬
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表紙:今回の表紙は、ピーチーです。
――次話――
この日はマンションは防災点検でした。
火災報知器の警報音が嫌いなピーチーは、酸素テントの中で暴れました。
寝たきりだと思っていたのに、まだこんなに力があったのか――
本当に悪いのは、肺だけなのですね。
もしかしたら、まだまだ大丈夫なのかな?
――前話――
初めての強制給餌――ピーチーは食いしん坊だったので、こんな日が来ることなど、想像したことさえありませんでした。
しかしどんなに体が弱っても、水飲みとトイレには、自力で行こうとします。
一生懸命に生きようとする姿。
犬はすごいです。
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▶ 肺がん闘病記の初話です
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