緊迫の7日(16/18)劇症肝炎闘病記
目前にあった危機が去ると、それとは別の問題も浮上してきます。
肝臓の諸数値が全て健康な状態に戻ったわけではありません。これからは慢性的な傾向の強い肝臓疾患と、長期で付き合っていかなければなりません。
●
また劇症肝炎の原因となった自己免疫不全はそのままですから、これからは自分の免疫とも上手く付き合っていく必要があります。もしもコントロールを誤ると、また重度の肝炎が再発してしまい兼ねません。
それに加えてピーチーには癲癇の発作もあります。
●
薬の時間を守らなければならず、食事制限も厳しいです。健康な時と違い、いい加減に済ませる事はできません。
しかし、ピーチーのオトボケな顔を見ていると、「仕方ないか」という気になってきます。諦めではなく、前向きに付き合っていこうという気になってくるのです。
以下、当時のブログです。
8月22日 朝|まだ楽観はできないけれど
まずは退院ができて一安心のピーチーですが、まだ楽観はできません。
冷静に考えれば、当面の危機ともいうべき、劇症肝炎の重症状態を乗り切ったにすぎず、肝炎はまだ継続をしています。
もう一つの課題である、てんかんとの兼ね合いもあり、今後の治療方針はまだ確定していません。
薬の量がすごい
現在ピーチーが飲んでいる薬の量がとにかく半端ではありません。それがピーチーの現状を物語っています。
※実はこの少し後に、もっと薬は増えるのです。
劇症肝炎はDVMsの総合内科で治療を行っていますが、てんかんは脳神経科。明日23日は劇症肝炎の発症前から、脳神経科の外来の予約が入っているため、予定通り同科で、今後の診療方針を話し合うことになります。
その結果をもって、総合内科との連携により、今後の治療方針が決定することになるはずです。
症状(病気)ごとに現状を整理する
現状を整理すると、下記のようになります。
■劇症肝炎
【病状と経過】
・胆管閉塞(或いは胆管狭窄)の状態を脱し、最も緊急度の高かった
胆嚢破裂の危機を乗り切った。
・全体の状況(体調と検査データ)は上向いている。
・とは言え、肝臓の炎症はまだ治ったわけではない。
→GPTが下降傾向とはいえまだ210 (標準値10~125)
→ALPが計測可能値の上限突破 >2000 (標準値23~212)
→C-反応性蛋白が計測可能値の上限突破 >20 (標準値0.00~1.00)
・恐らくは、膵炎も治まってはいない。
【現在の状態】
・元気に動き回るが、すぐに疲れて息が荒くなる。
・お風呂で寝ている時間が長い。これはピーチーが体調が悪いときの特徴。
【改善傾向】
・持久力はに日に日に増してきている。
・お風呂で寝る時間が、少しずつ減って、リビングでも寝るように
なってきている。
■てんかん(癲癇)
【病状と経過】
・大発作は7月26日を最後に起きていない。
・しかしながら、小さな発作を疑う現象が数度あり。
・8月16日以降は、緊急度の高い劇症肝炎への対応が中心
→ゾニサミドの投薬は途切れがち。
→臭化カリウムは中断中
→最も効果が期待できるイーケプラのみは欠かさず投与
【現在の状態】
・そもそものてんかんの原因として、自己免疫不全も疑われている。
・劇症肝炎の免疫治療に相乗りする形で、てんかんに対する免疫系の関与も
調べていくことになると思われる。
■ヘルニア(馬尾症候群)
【病状と経過】
・7月以降になって急激に悪化。
・入院直前の状態は、極度の歩行困難。
【現在の状態】
・5か所の関節からウイルス性でない炎症反応が検出。
・自己免疫性の多発性関節炎と診断。
・ステロイド治療の後、歩行困難は解消。
・ヘルニアに起因すると思われた歩行困難は、自己免疫不全が原因であった
可能性が強まる。
・レントゲンの所見からは、ヘルニアがあるのは明らか。
・しかし現在は、ヘルニアらの不具合は発生していない可能性あり。
今後の治療方針 - ステロイドから免疫抑制剤へ
ピーチーに自己免疫系の疾患があることは最早疑いようがなく、それが癲癇までを包含した大きな問題なのか、それとも肝臓だけのものなのかを、今後は見極めなければなりません。
まずは肝臓に注目し、現在はステロイドの投与で対応をしていますが、肝炎に一定の見通しが立った段階で、その後は免疫抑制剤に切り替えていくことが予想されます。
その場合、飼い主として気になるのが食事制限です。
生ものは控える方向で
感染症の可能性を減らすため、恐らくは今後、生ものは禁じられると思われます。せっかく生肉にも慣れて、その効果を実感していただけに残念でなりません。
ピーチーの大好物ウニをどうするかについても考え物です。元気が無い時にはウニ、記念日にはウニ。大好物で釣ってピーチーの気持ちを盛り立てようと思っていたのに……
でも、それは今後の成り行きで考えることにしましょう。
今日の様子はというと
今日の時点のピーチーの様子はというと、まだ肝臓は本調子ではないので、暗いお風呂に行って寝ていることが多いです。しかし段々と元気になってきているので、飼い主の動きが気になって、何かにつけてお風呂から様子を見に来ます。
しかし、少しそうしているだけで疲れるようで、すぐにお風呂に帰っていってしまいます。
あんまり先の事や、大きなことを考えても答えが見つからないので、まずは肝臓とてんかんに的を絞って、対処をしていこうと思っています。
――第3章|闘病記を読もう(25/28)・つづく――
この記事について
作者:高栖匡躬
▶プロフィール
Follow @peachy_love
表紙:今回の表紙は、ピーチーです。
――次話――
緊迫の1週間を振り返りました。
ピーチーを救ったのは、恐ろしいほどの強運です。
高度医療を受けられる場所に住んでいて、
ギリギリのタイミングで診療が受けられて――
医療には地域格差があります。
どの子も等しく高度医療の恩恵に預かれますように。
――前話――
退院のお祝いに、ピーチーにウニを食べさせてあげました。
ウニはピーチー最大の大好物です。
匂いを嗅いだだけで、目の色が変わりました。
「犬にウニを食べさせて良いの?」
そんなご意見も時々もらうのですが、そこには飼い主なりの考えもあって――
●
▶ 劇症肝炎闘病記の初話です
▶ 第3章の初話です
▶ この連載の初話です
▶ この連載の目次です