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犬は強いなあ - 担当医の言葉と退院の可能性【闘病記】

劇症肝炎_退院の可能性

緊迫の7日(12/18)劇症肝炎闘病記

快方に向かっていたピーチーですが、この日の夕方面会に行くと、担当医から”退院”の可能性を告げられました。

正直いって驚きました。4日前には死の淵にあった子です。
別れを覚悟で、ステロイドの大量投与を決断したのは3日前でした。

それが、思ってもみなかった回復――
この時の喜びは、今も忘れません。
そして、犬は強いなあとしみじみと思いました。

しかし、まだ安心はできないぞと、気を引き締め直したことも覚えています。

以下、当時のブログです。

8月20日 夕方|あっ、歩いている

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先ほどまでDVMsに行っていたのですが、今日は信じられないことが起きました。

僕たちが病院につくと、受付のカウンターにいた看護師さんが、とても明るい笑顔で「ピーチーちゃんのご面会ですね」と声を掛けてくださいました。
もうこれだけで、ピーチーの具合が良いのだなと分かります。

今日は待合室で15分ほど待っただけで、すぐに声が掛かって、面会に使う処置室の部屋番号が告げられます。

僕たちが立ち上がろうとしたときでした。
処置室の扉が勝手に開きました。

何事かと思ったら、なんとピーチーその扉を鼻先で開いて、自分から待合室に出てきてしまったのです。
僕も奥さんも、もうびっくりです。足元は多少おぼつかないところはありますが、とても力強くて、前日までのヨロヨロと歩くような弱々しさは感じません。

撫でてあげました

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ピ一チーには大型犬用の緑色の太いリードがつながっており、ピーチーに引かれるように若い看護師さんが現れました。

ピーチーは僕と奥さんに愛想をしてきたので、奥さんがピーチーを撫でてやりました。僕も撫でてやろうとした手を伸ばしたのですが、ピーチーはくるりと踵を返して、元来た処置室に帰っていってしまいました。

気まぐれで落ち着かないところは、元気なころのピーチーそのままです。

僕たちはピーチーを追いかけて処置室に入り、そこでゆっくりとピーチーを観察しました。

もしかして、家に帰れるの? ‐ 退院の可能性

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ピーチーは昨日よりも長く、自分の力だけで動き回わります。

でもやっぱりすぐに疲れるようで、床にべたり。
しかし、またすぐに起き上がって歩こうとします。

面会というよりも、ピーチーの遊び相手をしているうちに、担当の先生が部屋に来てくださいました。
「黄疸の値はかなり下がっています。総ビリルビンももう一歩のところ。炎症の値は高いままですが、これは回復に向かっていてもそう簡単に下がるものではありません」
医師の言葉からは、ピーチーがかなり良くなってるのが明らかです。

僕たちはホッとしました。
――そして、医師の次の言葉に耳を疑いました。

「今はステロイドと抗生物質を与えて様子を見ているだけです。このまま経過が良いようであれば、明日にでもお宅に連れて帰りますか?」

完治しての退院というわけではありませんが、自宅で療養しながら、病院に通うことが許されたのです。

「もちろん、連れて帰ります」
そう僕たちは答えました。

信じられますか?
僅か4日前には自力で立つこともできず、瀕死の状態だった子です。

受け取ったのは、良好な検査結果

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検査の結果ももらいました。
まだざっとしか見ていませんが、確かに気にしていた総ビリルビンの値は、もうすぐに標準値まで下がりそうになっています。

今夜何事もなければ、明日にはピーチーがうちに帰ってきます。
それは、思ってもみなかったことです。
医師の言葉が、今でも信じられません。

「良く頑張ったな、ピーチー」
ピーチーの頭を撫でながら、声を掛けてやりました。

でも喜ぶのはまだ早いかもしれません。
明日、ピーチーが本当に返ってこれたら、その時こそ本当のお祝いです。
ピーチーの誕生日には少しだけ早いけれど、前祝いで、少しだけウニ(注1)をたべさせてやろうかな。

本当に帰ってこいよ、ピーチー。

(注1)
ピーチーはウニが大好物なのです。高価なのでいつもは食べさせないでのですが、誕生日のお祝いはウニと決まっていました。

 

――第3章|闘病記を読もう(21/28)・つづく――

この記事について

作者:高栖匡躬
 ▶プロフィール

表紙:今回の表紙は、ピーチーです。

――次話――

前日、医師から“退院”の言葉が出たものの、
「念のためにもう一晩様子を見たい」とのこと。
ここにきても、心配が先だつ飼い主の心でした。
夜が明けて、退院がどうかが決まる日――
退院祝いの “ウニ” も準備をしていました。
逸ってはいけないと思いつつ。

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――前話――

ピーチーは死の手前から、こちらに戻ってきたように見えました。
思い返すと、そこには幾つもの “幸運” と “偶然” がありました。
ほんの少しだけ、病気の発症順が違っていたら――
恐らくピーチーは、もうこの世にはいないはずです。
ピーチーの強運を実感しました。

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劇症肝炎闘病記の初話です
第3章の初話です 
この連載の初話です
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