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君が旅立つまでのこと

愛想も愛嬌も闘病の一部 - それは闘病の秘訣かも【闘病記】

愛想も愛嬌も闘病では大事

緊迫の7日(8/18)劇症肝炎闘病記

前日の面会では、ピーチーの劇症肝炎は、劇的に改善されたように見えました。しかし、まだ安心はできません。なにしろ、一昨日の夜までは、ピーチーは死の縁をさまよっていたのですから。

ブログで応援をしてくれた仲間達に、歓びの声を伝えたいと言う気持ちが半分と、そこに喜んでしまうと、足元をすくわれそうな不安が半分同居していました。

一晩かけて、起きたことをきちんと頭で整理しました。
少なくとも、危機的な状態は回避している。――それは確かです。

しかし――、やはり心からは喜べない。
喜ぶのが怖いと言うのが、正直な気持ちでした。

以下、当時のブログです。

8月19日 早朝|活力が戻って来た!

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もう昨日の出来事になってしまいますが、ピーチーの病状の変化をまとめたく思います。

面会をしたピーチーは、明らかに前日と違っていました。見違えるほど活力が戻ってきています。自分で立ち上がろうとし、よろけながらも歩く。数歩でへたり込みますが、また立とうとする。そして時折、しっぽを振る。

ピーチーは僕と奥さんをはっきりと認識をしており、じっとこちらを見つめています。

そして、僕が指を差し出すと――
その指をぺロリと舐めました。これは昨日までは無かった仕草です。
たったこれだけですが、大した進歩です。

食欲と排泄、どちらも大切なこと

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ピーチーは、食事はまだ自分からは食べようとしませんが、口に入れてやると食べるそうです。便と尿は、まだ自分ではできず、ドレーンが入っています。

治療前と治療開始後の血液検査の結果は下記に記しますが、1つの事を除いては、際立った変化は見られません。ただ、その1つが大きく、総ビリルビンが5.3から2.8に下がっています。
これは3年前にピーチーが胆管閉塞を起こした時、僕が毎日気にしていた数値です。

つまりこれは、胆管の状態がとても良くなってきていることを示します。具体的には、目前で僕が最も恐れていた、胆嚢破裂の危機が去ったという事。
そしてそれは同時に、食欲の改善が期待できます。

血液検査の諸数値を整理

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以前の胆管閉塞の際の経験と知識では、総ビリルビンの値は、食欲に大きく影響をもたらし、その値が下がると共に食欲が回復してきました。

そして、もしかするとこの変化は、昨日から合併的に発症していた膵炎も改善していることをも示しているかもしれません。何故ならば、今回の胆管閉塞が、膵臓の炎症が胆管を圧迫した結果だと仮定すると。胆管閉塞が改善されたということは、膵臓の炎症が治まってきているからかもしれないからです。

さらに、期待通りに膵炎が改善されたということであれば、膵炎のよってもたらされている激痛が、緩和されていることも意味します。

むろんこれはら推測の域をでず、我々は経過を見守る以外にありません。

ここまでの血液検査の結果を、日付順に整理しておきます。

血液検査の実データ(日付順)

【8月16日の検査】(発病の日)
GLU 血糖値      86 (基準値75~128)
GOT/AST      243 (基準値17~44)
GPT/ALT       421 (基準値17~78)
ALP アルカリフォスターゼ >3500 (基準値47~254) 
           ※測定器の上限値を超えたため、計測不能
TBil 総ビリルビン   5.5 (基準値0.1~0.5)
Na ナトリウム     147 (基準値141.0~152.0)
K カリウム       3.4 (基準値3.80~5.00)
Cl クロール      168 (基準値102~117)
C-反応性蛋白    >20.00 (基準値0.00~1.00) 
           ※測定器の上限値を超えたため、計測不能

※偶然ですが、発症前の14日にも検査をしており、その時にはどれも正常値。
※ALPのみは1040で高値でしたが、一過性のものであろうとの判断でした。

【8月17日の検査】(総合内科での専門医の検査)(治療前の段階)
BUN 尿素窒素    17.0 (基準値7.0~27.0)
CRE クレアチニン  0.8 (基準値0.5~1.8)
TCho 総コレステロール 339 (基準値110~320)
GLU 血糖値     88 (基準値70~143)
GPT/ALT       315 (基準値10~125)
ALP アルカリフォスターゼ 1887 (基準値23~212) 
ALB アルブミン   2.1 (基準値2.2~3.9)
TP 総蛋白       5.7 (基準値5.2~8.2)
P リン          4.9 (基準値2.5~6.8)
Ca カルシウム    9.6 (基準値7.9~12.0)
TBil 総ビリルビン  5.3 (基準値0.1~0.9)
GGT          34.0 (基準値0.0~0.7)
Na ナトリウム     160 (基準値144~160)
K カリウム       3.6 (基準値3.5~5.8)
Cl クロール      122 (基準値109~122)
C-反応性蛋白    >20.00 (基準値0.00~1.00) ※上限値を超え測定不能
GLOB グロブリン   3.6 (基準値2.5~4.5)
※対応する部署が違うためか、初回とは検査項目と基準値が違っていました。

【8月18日の検査】(前の晩からステロイドを投与)
BUN 尿素窒素    13.0 (基準値7.0~27.0)
CRE クレアチニン  0.6 (基準値0.5~1.8)
TCho 総コレステロール 344 (基準値110~320)
GLU 血糖値     106 (基準値70~143)
GPT/ALT       302 (基準値10~125)
ALP アルカリフォスターゼ >2000 (基準値23~212) 
ALB アルブミン   2.2 (基準値2.2~3.9)
TP 総蛋白       5.9 (基準値5.2~8.2)
P リン          4.5 (基準値2.5~6.8)
Ca カルシウム    9.6 (基準値7.9~12.0)
TBil 総ビリルビン  2.8 (基準値0.1~0.9)
GGT          34.0 (基準値0.0~0.7)
Na ナトリウム     156 (基準値144~160)
K カリウム       3.6 (基準値3.5~5.8)
Cl クロール      119 (基準値109~122)
GLOB グロブリン   3.7 (基準値2.5~4.5)
 

担当医の見解 ‐ ステロイドは効いている

ピーチーと一緒に1時間ほど処置室にいると、担当の山○先生が来てくださいました。
山○先生によると、「ステロイド投薬の効果が出ているのは、まず間違いないでしょう。これから数日はこれで押します」とのことでした。

僕たちの目の前には、まだうっすらとですが、光が差してきたように感じます。
しかしまだ油断はできません。何しろピーチーの体の値は、依然としてピーチーが危機的な状態にあることを示しているのですから。

感心したこと - 愛想も愛嬌も闘病では大事

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今日、僕と奥さんが、ピーチーに感心したことがあります。

ピーチーは山○先生が処置室にいらっしゃった際に、気力を振り絞って立ち上がり、ヨタヨタと歩いて、山○先生に愛想をしにいったのです。

体を摺り寄せ、飛びつこうとする仕草をするだけです。たったそれだけなのですが、ピーチーが全身で先生に感謝を伝えているのが分かります。

実はピーチーはこれまで、この ”愛想の仕草” をどの病院でもやってきました。
痛い針を刺した先生、苦い薬を飲ませた看護師さん。その皆さんに一人ずつ、必ず愛想を振りまくのです。

 

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以前に別の病気で、麻布獣医大学に行ったピーチーは、皮膚科の世界的な権威である、○方先生にもそれをやりました。目の前には、周囲からは強面で知られている○方先生。周囲にいる看護婦さんも研修医もピリピリとしています。

しかしピーチーが愛想をしてその瞬間に、仏頂面の○方先生の顔は破顔しました。
それを境に、病院に行くたびに○方先生は、エビスさんのような笑顔でピーチーを迎えてくれるようになりました。

数か月前に瞼にできた腫瘍を取った際もそうです。ピーチーは高齢なので、全身麻酔を避けるため体をマットに縛りつけて、軽い局所麻酔しただけで手術をしたのですが、この時も手術のすぐ後で、執刀医に真っ先に駆け寄って愛想をしたのです。

先生はビックリしていました。

些細なことだけれど、実は大事なこと

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ブルテリア特有の愛嬌のある顔で、尻尾をブンブン振りながら愛想をするピーチー。

ピーチーはどの病院でも、飼い主が知らない間に病院中のアイドルになっていて、そこを卒業(退院)する時には、皆さんが声を掛けてくれました。中には、わざわざ仕事を中断して、ピーチーを見送りに来てくれた看護師さんもいたほどです。

小さいことだけれど大きいこと。
こんなことがきっと、これまでピーチーを救ってくれていたんだと思います。

きっと今度も大丈夫だよ。ピーチー!
しっかり愛想を振りまくんだぞ!

 

――第3章|闘病記を読もう(17/28)・つづく――

この記事について

作者:高栖匡躬
 ▶プロフィール

表紙:今回の表紙は、ピーチーです。

――次話――

ピーチーの状態は更に良くなってきました。
この日は、自力でウンチをして、自分からご飯を食べて。
当り前のことが、当たり前にできることの嬉しさ。
まだ意識障害は残り、血液の諸数値は元には戻っていません。
余談を許さぬ状態のまま。
しかし、僅かに光明が――

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――前話――

劇症肝炎の原因は自己免疫不全なのか?
賭けに出た翌日の話です。
ステロイドの大量投与は、賭けに勝っていれば効果がある。
しかし負けていれば命にめを刺す。
幸い夜間には、急を告げる電話はありませんでした。
そして面会――
目の前に現れたのは――

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劇症肝炎闘病記の初話です
第3章の初話です 
この連載の初話です
この連載の目次です 

 

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