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ステロイドの大量投与 - 究極の選択、その結果は?【闘病記】

ステロイドの大量投与

緊迫の7日(7/18)劇症肝炎闘病記

前の日の夜、劇症肝炎のピーチーに、ステロイドの大量投与という治療を決断しました。その決断が吉と出るか凶と出るか、誰にも分かりませんでした。筆者と家族とピーチーは賭けにでたのです。

あの時――
押しつぶされそうなだった胸の内を、今でも鮮明に覚えています。

しかし、有り得る選択肢を一つ一つ洗い出して、考えを深めて行くうちに、覚悟が決まっていきました。覚悟を決めたら、もう迷わないと、別の覚悟も決めました。

医師との面談が終わった時には、病院にはもう人けがありませんでした。
病院にはご迷惑かと思ったのですが、ピーチーとの面会を申し出ました。もしかしたら、それが生きているピーチーを見る最後の機会になるかもしれないと思いました。

処置室に連れて来られたピーチーには、点滴の針が残ったままです。
そんなピーチーを、何度何度も撫でてやりました。

それから、「決めたけど、いいよな」とピーチーに言いました。

そして――、長い一夜が明けました。

8月18日 朝|病院からの電話は無かった

恐れていたピーチーの急変を告げる電話は、掛かってきませんでした。
ピーチーは生きて、夜を越えたということです。

DVMsの開院時間を待って、経過確認の電話をしたところ、安定しているという返事が返ってきました。一安心です。
忙しい病院の様子が伝わって来たので、夕方の面会の予約を入れて一旦電話を切りました。ピーチーのことは心配ですが、あまり病院に迷惑はかけられません。

この日は僕も奥さんも仕事で、朝一番で会いに行くことはできなかったのです。
もちろん、ピーチーが急変していれば、全てを投げうってでも駆け付けるところですが、幸いそうではないようです。

昼を過ぎた頃にもう一度病院に電話をしてみましたが、やはり状態は安定しているとの返事です。少し希望の光が見えたような気がしました。
なぜならば、今回の勝負は早いはずなのです。とても――
急変していないのならば、状況は良いのかもしれません。

「もしかしたら、ピーチーはまた切り抜けたかもしれない」
そう奥さんに電話を入れました。「本当に!?」と電話の先から、奥さんの期待を込めた声が聞こえました。
しかし、ここで冷静になりました。
「糠喜びは嫌なので、まだ期待はしないでいよう」
と答えました。

夕方に駅で待ち合わせて、タクシーでDVMsに向かうことを決めて、電話を切りました。

以下は、当時のブログからの転載です。

8月18日、夕方|また強運発揮か?

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今日もDVMsに、ピーチーの面会に行ってきました。

まず最初に結論からお伝えすると、もしかしたらピーチーは、また強運を発揮したかもしれません。まだ予断は許さない状態ながらも、確実に昨日と違うピーチーがそこにいたのです。

今日も処置室を空けていただけたため、ピーチーとの面会はそこで行いました。
連れてこられたピーチーは、昨日とは全然違っています。

目に力があるし、何よりも自分で立って歩こうとします。もちろんまだ弱々しいので、数歩歩くだけでへたり込んでしまうのですが、それでもまた立とうとします。ときおり尻尾も振ってくれます。

 

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看護師さんに確認したところ、昨夜からもうステロイドの大量投与は始まっているそうです。

「ごはんは食べたのですか?」
そう訊ねると、「自分からはまだ食べようとしませんが、口に入れてあげると咀嚼して飲み込みます」との事。

すぐに担当の山○先生も来て下さり、期待通りにステロイドが効いているようだとの見解でした。
「しばらく、これで押してみましょう」とのこと。

 

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これだけでも、天にも昇る気持ちです。
昨日までは、今にも死を迎えそうな状況だったのですから。

しかし、まだ楽観はできません。
ピーチーの血液の分析値は、いくらか改善はしているものの、依然として危険な兆候を示したままです。

もっと細かくお知らせをしたいのですが、その前にここまでの情報を整理して、自分なりに理解を深めなければなりません。

改めて、別の記事にてお伝えしたいと思います。

 

――第3章|闘病記を読もう(16/28)・つづく――

この記事について

作者:高栖匡躬
 ▶プロフィール

表紙:今回の表紙は、ピーチーです。

――次話――

劇症肝炎は劇的に改善し、危機最大の危機は回避か?
「ステロイドの効果が出ているのは、まず間違いないでしょう」
担当医が言いました。
ピーチーは担当医の足元にヨロヨロと歩いて寄り添いました。
まるで「治してくれてありがとう」と言っているように。
愛想を振りまくピーチーでした。

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――前話――

外科手術か? 内科療法か? 運命の時。
結局、手術はせずに内科を選択。
それは消極的な決断ではありません。
なにしろ間違えれば、その判断が、愛犬の命に止めを刺すのですから。
「もしも言葉が話せたら、お前はどうする?」
愛犬に語り掛ける飼い主でした。

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劇症肝炎闘病記の初話です
第3章の初話です 
この連載の初話です
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