緊迫の7日(3/18)劇症肝炎闘病記
ピーチーが入院し、集中治療室に入ったその日の夜――
何も手が付かず、気を紛らわすこともできませんでした。
もしかしたら――
そう思いました。
もう生きている姿には合えないかもしれないと、最悪の事態を想像したのです。
一度考えてしまうと、もう打ち消すことはできません。
筆者はいてもたってもいられず、ピーチーの面会に出掛けました。
側にいても何もできないことは、分かっているのに――
飼い主と言うのは、皆同じではないでしょうか?
以下、当時のブログです。
8月16日 夜|集中治療室での面会に
皆さん、心配をおかけしてすいません。また暖かいご声援をありがとうございます。
ピーチーが心配なので、夜になって面会に行ってきました。
明朝になれば会えるのですが、もしも万が一、今夜にでも病状が急変したら、もうピーチーに会えないかもしれかもしれません。そう思ったら、どうしても顔が見たくなったのです。
病院への移動には、IKEA(※1)の送迎シャトルバスを利用させてもらうことにしました。実はDVMs(動物医療センター横浜)とIKEAは、徒歩5分くらいの場所にあるのです。そしてIKEAの送迎バスは、うちから近い新横浜駅から出ています。
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今回は恐らく、入院費が馬鹿にならない金額になりそうです。毎回タクシー(※2)を使うと厳しいので、今から節約です。
シャトルバスが新横浜駅を出たのは18時30分。周囲はまだ薄暗いかったのですが、所要時間20分で、現地に着いたらもうすっかり暗くなっていました。おまけに雨まで降り始めて、気分が沈みます。
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集中治療室では高濃度酸素のブースに
面会は完全予約制です。19時に予約を入れましたが、この時間のDVMsは夜間のER(救命救急)の時間に入っているので、急患への対応が最優先です。
(DVMsは昼間の時間帯は『二次診療センター』として運営され、夜間がER『救急診療センター』として運営されています)
患者さんの診療が空くのを待ち、約束の時間から30分ほど過ぎて、ようやく病室に案内されました。
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ピーチーは酸素濃度の高いブースに入って、横になっていました。朝よりは随分と状態は改善していますが、それでもまだ苦しそうです。
それに加え、朝から何度も病院を移動し、その都度待合室の床で横たわっていたので、毛が薄汚れてしまっていて、それがまた痛々しさを倍加させています。
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看護師さんに酸素ブースを開けてもらい、撫でてやったところ、僕の事を分かっているようで、ピーチーは力を振り絞って、立ち上がろうとします。しかし体を起こすのが精一杯で、そこから先は動けません。
無理をさせたらかわいそうなので、ブースを閉めてもらいました。
まだ治療は始まっていません
担当医とも少し話ができましたが、まだ救命救急の範疇なので、対処的な処置を行っているだけで、具体的な治療が行われている訳ではないそうです。
前前話(すべてはここから|突如の劇症肝炎)に書いたように、DVMsでの治療(=二次診療)は専門医が行います。予約が取れているのは翌日の『総合内科』なので、本当の治療が始まるのはそこからになります。
ただ、現在の状態から察するところでは、今晩病状が急変することはなさそうとの事。
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面会したのは僅かに10分ほど。もっと一緒にいたかったのですが、ここには他にも入院中の犬や猫が沢山いて、部外者が長く居座ると治療の邪魔になります。
先生と看護師さんにお礼を言って、病院を後にしました。
ピーチーの様子が分かり、ちょっとだけ安心しました。
今日はもうこれ以上心配するのはやめて、ゆっくり寝ることにします。
後の事は、明日以降の話です。
(※1)
ここでいうIKEAは、家具量販店のIKEAです。送迎バスを利用するだけだと申し訳ないので、毎回何かちょっとしたものを買っていました。
(※2)
我が家には車が無いため、通院にはタクシーかレンタカーを使っていました。
――第3章|闘病記を読もう(12/28)・つづく――
この記事について
作者:高栖匡躬
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表紙:今回の表紙は、ピーチーです。
――次話――
夜、病院からの電話は無し――
つまり、ピーチーは生きて朝を迎えたということ。
面会時間を前に、ピーチーに起きたことを整理しました。
これが後に、奇跡を産むことになるとは気づきもせず。
病気はシビアであるほど、情報は不可欠。
やがてそれを実感するのです。
――前話――
諸数値の急激な悪化から、劇症肝炎は間違いなし。
しかし救命救急センターでは、治療が出来ません。
主治医に移動するも、緊急度が高過ぎて手に負えず。
専門医の診療を受けるために、すぐに2度めの移動。
病状は深刻で、一刻の猶予も無い状態なのに――
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▶ 劇症肝炎闘病記の初話です
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