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君が旅立つまでのこと

別れ方は人それぞれ - ピーチーは虹の橋を渡らない|前文

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死にゆく準備、死なせゆく準備(5/6)

『虹の橋』は良い詩だと思います。しかし「うちの子が、そこに行くのかなあ?」と思うと、どうもしっくりきません。うちの子は向こうの世界にいって、じっと飼い主を待っているようなタイプではないのです。どちらかというと、飼い主のことはそっちのけで、遊びに夢中になるタイプ。

だから、うちの子らしく向こうに行って欲しいなあと思いました。
愛犬と飼い主の別れ方って、愛犬と飼い主の数だけあっていいのじゃないかと思いました。

うちにはうちの別れがあって、それがあの子には相応しい。
だからそこには拘りたいな。そんな気持ちなのです。

我が家にとっての『虹の橋』は?

前前話|『虹の橋ってどんなところ』 に書いたように、筆者は愛犬ピーチーとの別れが近いと悟った時に、『ピーチーは虹の橋を渡らない』という文章を書きました。

虹の橋は原典が作者不詳の詩です。
詩には様々な解釈があります。それを筆者なりの解釈をした結果が『ピーチーは虹の橋を渡らない』でした。

本話と次話で、その文章をそのままご紹介したいと思います。
「こんな考え方もあるのか」
と思っていただけると幸いです。

下記に、当時のブログに掲載した原文を(ほぼ)そのままに転載しますが、ブログ中では自分のことを、”筆者”ではなく”僕”と表しています。

――以下、2016年3月25日のブログより――

ピーチーは虹の橋を渡らない

ピーチーの状態ですが、あまりよくない様です。
しかし、どれくらい良くないのかが分かりません。

ただ、これまでと違って、お別れの時がもう間近なのだということを肌で感じています。今日、主治医の先生に往診をお願いするつもりでいます。

現在の状態をお知らせしておきます。

ピーチーは昨日の朝から、酸素ブースを使っています。
使い始めの時間には、トイレに行って戻ってくると息が上がっていたのですが、段々とその度合いが強くなり、今はピーチーの様子を見ようと、ブースのファスナーを開けただけでもう肩で息をしはじめます。相当に肺は傷んできているようです。

昨日の夕食は何も(大好物のウニさえも)受け付けなかったのですが、酸素ブースの中で調子が良さそうな時を見計らって、ウニをあげたら、食欲のエンジンが掛かって、そのあと鶏のササミを食べました。バクバクと美味しそうに食べましたが、その量はササミ半分までが限界でした。

明日26日の月誕生日には、ピーチーに生まれて初めて、人間用のケーキを食べさせてやろうと思っていたのですが、もしかしたら間に合わないと思い、夜中にローソンに行って、『プレミアムロールケーキ』を買ってきました。

なんと、こいつは完食です。
もう目の色が違います。

しかしピーチー、大したもんだと思うのが、こんなに状態が悪くても、トイレには自分で行こうとします。苦しいと思うのですが、好きにさせています。きっとピーチーにはそれが、大事なことなんです。

さて、

そろそろ、ピーチーとのお別れの準備をしなければならないと思っています。
その時は今日かもしれませんし、1か月後かもしれません。
しかし、もう準備が必要なことだけは分かります。
そこで皆さんにお願いがあります。

愛犬が亡くなった際によく使われる、『虹の橋』の詩についての事です。

誤解をされてしまうと困るので、予め申しておきます。
僕は『虹の橋』を否定するものではありません。
多くの愛犬家の癒しとなる、素晴らしい詩だと思います。

しかしながら、僕個人の考えを言うと、ピーチーには『虹の橋』はどうにも似合わない。

生き様という表現があるように、死に様という表現もあります。
死に様と生き様は同じだとも言います。
僕はピーチーの生き様からして、その死に様は『虹の橋』では表現できないだろうと思っています。

――前文はここまで――

それは、虹の橋を理解し、良さを知った上でのことでした

なぜこのような文章を書いたのか?
ピーチーとの別れについて、正面から考えていった結果です。

死を受け入れると考えた時に、それはより良い死であって欲しいと思いました。
それはピーチーにとっても、飼い主にとってもです。

このあとに本文が続きます。
それは次話にて――

 

――第2章|犬の死とは(5/10)つづく――

この記事について

作者:高栖匡躬
 ▶プロフィール

表紙:今回の表紙は、ピーチーです。

――次話――

人間は死の間際、良い思い出だけが走馬灯のように巡ると言います。
それは脳科学でも、検証されているのだそうです。
いつか自分の臨終のとき、私たちは一番会いたい時の愛犬に出会えるわけです。
その時君は、どんな姿をしているのだろう?

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――前話――

虹の橋ってどんなところ?
愛犬との別れに、良く用いられる『虹の橋』という言葉。
その出典は、作者不詳の詩です。
意外にも原詩や、その訳詞を読んだことがない方が多いように思います。
どうか読んでみてください。
『虹の橋』に、違う風景が見えてくるかも――

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第2章の初話です
この連載の初話です
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