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最期の闘病期間とは? - 無限の介護など無いと知ること

最期の闘病期間とは

愛犬が重い病気に罹ったとき、診断結果を聞く飼い主の心境は、”絶望”という言葉が一番ふさわしいかもしれません。

筆者にも経験がありますが、最初は動顛した中での正体のない絶望感。しかし闘病が始まると、それが具体的な絶望に変わっていきます。その具体的な絶望の内の一つが、先の見えない闘病期間に対する恐れです。

今回はこの闘病期間について考えてみます。

実感する闘病の大変さ - いつまで続くのか?

犬は一生の最期の時期、病魔との闘いに、どれくらいの期間を費やすものなのでしょうか? 

実はこれは、介護の当事者である飼い主にとって、とても有益な情報です。
かつては筆者もその当事者の一人でした。

終末期の介護は飼い主にとって、とても大きな負担を強いられるものです。睡眠を削り、体力を削ります。時には仕事を休んで、愛犬と一緒に過ごす時間をなるべく確保しようともします。

ずっと生きて欲しいと願うその反面で、その過酷な時間が、一体いつまで続くのだろうとも考えてしまうのも現実です。

動物の介護は人間の介護と同じように、過労で倒れてしまう飼い主さんもいます。
決して綺麗ごとだけでは済まされないものでもあります。

もしも予めその介護の時間(期間)が分かるとしたらどうでしょうか?
諸々のこと(時間的なこと、経済的なこと、体力的なこと、人数的なことなど)を、計画的に配分することもできるようにもなります。

もしも ”良い別れ” と言うものがあるのだとすると、残された時間を知ることは、それを実現する大きな助けになるように思います。

 

臨床の獣医師に話を聞いてみる - 最後の闘病はどれくらい続く?

この興味深いテーマへの解答は、随分探したのですが、どこにも見つかりませんでした。つまり、終末期
そこで筆者は、臨床の現場にいる獣医師に、体験的な側面から ”最期の闘病の時間” について、話を聞いてみることにしました。

以下、インタビューへの回答です。

――ラクーンアニマルクリニック 木佐貫敬 院長――

『いわゆる終末医療という観点からいうと、犬の最期の闘病は、大体2週間から1か月の間だと思います。まずは1週間取り組んでみて、快方に向かうかどうかを見極めながら、更に1週間と伸ばしていく。1か月と言うのは犬の体力からも、飼い主さんの疲労度合からしても、限界の時間です。終末期の看護は大変ですから。

もっと広い意味で、我々獣医師がずっと継続して看ている犬が、慢性疾患が次第に悪化して、治療の甲斐なく亡くなってしまう場合も最期の闘病なのだと考えると、大体1年くらいは闘っているんじゃないでしょうか。病気の種類によっては2年とか。
その反面で、急性疾患の場合は勝負が早いですね。3日程度か、早ければその日のうちというケースもあります。

ただ、事は慢性と急性だけで区切れるものではありません。慢性的な疾患であっても、末期にならないと獣医を訪れない飼い主さんも多いですしね。
そもそも闘病というのが、獣医が診察した時点から始まるのか、飼い主さんが愛犬に異常を感じた段階から始まるのかの定義も曖昧です。

ありきたりな回答になってしまいますが、犬が最期の闘病にどれくらいの時間を使うかは、一概に言えないというのが正直な感想です』

――DATA――

木佐貫敬

麻布大学獣医学部獣医学科卒業
Murdoch Uni Western Australia School of Vet Sceience卒業
Companion Animal Surgery (Singapore) 勤務

在星中は欧州及び豪州の獣医師と交流を深め、約4年の勤務後渡米。フロリダ州マイアミ South Kendall Animal Hospital 勤務 各分野の専門医たちから暖かいサポートや指導を受け多くを学びました。また爬虫類を含むエキゾチック動物診療も幅広く経験。

10年以上にわたる海外生活の中で様々な事例を経験し、現在でも専門医たちとのネットワークを通じて困難なケースについて個別にアドバイスをうけ、日々の診療に反映しております。また、常に国内外の学会や文献をリサーチし、幅広い情報を得るべく努力しております。

日本及び米国フロリダ州・ハワイ州獣医師免許
日本獣医師会・米国獣医師会会員

ラクーンアニマルクリニック ホームページ

https://sites.google.com/site/acracoon/vet

木佐貫医師の回答は、”最期の闘病期間は、一概に言えないとい” う前提はあるものの、2週間~1か月という臨床現場での体験的な(体感的な)目安も示しています。

介護の当事者になると、無限の時間を想像してしまいがちです。
しかしながら、実は時間は限られています。
介護は有限な時間であると知ることで、そこに力を尽くそうという気力も湧くように筆者は感じます。皆さんはどのように思われるでしょうか?

 

――第1章|犬の闘病とは(2/9)つづく――

この記事について

作者:高栖匡躬
 ▶プロフィール

表紙:桜さん(飼い主:あみママさん)

――次話――

愛犬の闘病時――
全ての決定は飼い主が行います。
深刻な病状ほどその判断は難しく、飼い主は自らへの重圧に孤独感を覚えます。
しかし、立ち止まって考えてみましょう。
今この瞬間、同じような立場にある飼い主の数は、実は驚くほど多いのです。

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――前話――

朝早くに、或いは夕方に、我々はよく犬の散歩とすれ違います。
決まった時間に必ず会う子もいれば、週末には見たことのない犬たちもいる。
我々の周囲には、どれくらいの犬がいると思いますか?
最新の犬の登録数は600万頭を越えているそうです。

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第1章の初話(前話)です
この連載の初話です
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