MATANE

君が旅立つまでのこと

飼主たちの共感の時間 - 君が旅立つまでのこと の構成

飼主たちの共感の時間

まずは本作、 MATANE『君が旅立つまでのこと』の全体の構成からご説明します。

本作がテーマとしているのは、飼い主たちの共感の時間 です。

犬を飼うという行為は、犬を飼おうかどうか悩むところから始まって、最後に愛犬を看取るまでの間続きます。その平均は14年~15年ほどだそうです。

自分で犬を飼ってみて思うのは、犬の一生の全ての時期が、必ずしも他の飼い主さんたちと共感し合えるものではないということです。

正直に言うと、朝や夕方の散歩ですれ違うよその家の犬たちは、うちの子ほどは可愛く思えません。もちろん可愛くないと言っている訳ではありません。どの子も可愛いのですが、とりわけうちの子が可愛いのです。

飼い主たちが共感しあえる時期は?

恐らく多くの飼い主たちが、同じ話題に共感できるのは、実は犬の一生のうちのごくわずかの期間しかないのではないでしょうか?

筆者が思うにその期間というのは、以下の6つ程しかないのではないではないかと思います。

うちの子がうちにくるまで - の時期

ごく普通の人たち(私たち)が、犬を飼うかどうか迷い、結局飼おうと決心するまでの時期です。

うちの子がうちにきてすぐ - の時期

新米飼主の苦労の時。しつけがなかなかうまく行かない、不安といら立ちを感じる時期です。

うちの子が老いて思うこと - の時期

愛犬がいつの間にか歳をとり、まるで階段を下るように、一つ一つ出来ないことが増えていく時期です。

うちの子が旅立つまでのこと - の時期

愛犬の最期の闘病と介護の時。次第に弱っていく愛犬に付添う飼い主の心には、様々な葛藤が生まれます。

うちの子がいなくなってから - の時期

愛犬を看取ってから、誰もが経験するペットロスの時期です。飼い主の気持ちの揺れて、やがて心の再生の時がやってきます。

もう一度、うちの子がうちにくるまで - の時期

先代犬との別れを乗り越え、また犬を迎えたいと思うまでの時期。心が再生してから犬を迎える方もいれば、心の再生を助けてもらうために犬を迎える方もいます。

どうでしょう?

子犬の頃を過ぎて、成犬になってからの期間が抜けていますね。
筆者自身の心の内を白状すると、その時期はどうにもよその子に共感がしにくいように感じます。冒頭に書いたように、うちの子がとりわけ可愛い時なのだと思うのです。

皆さんも同じではありませんか?

犬を我が家に迎え、しつけを終え、成犬の頃になると、犬と家族の付き合い方も距離感も、各家庭それぞれで違ってきます。甘やかされて育つ子もいれば、厳しい規律の中で暮らす子もいます。一人っ子の場合もあれば、多頭飼いの群れの中で過ごす子もいます。 中には、ショードッグになって、専門のトレーナーにつく子もいるかもしれません。番犬として屋外で飼われる子もいるでしょう。

愛犬家同士でよく話題になるドッグフードも、高額なプレミアムフードを与えられる子もいれば、量販店で売られている一般的なフードを与えられる子もいます。各家庭ごとに経済事情が異なりますから、当たり前のことです。

犬が元気で活力のある成犬の時期は、各家庭ごとに可愛がり方に流儀があります。我が家にとって楽しいことは、他の家でもそうとは限らないというのは当たり前のことでしょう。

やがて老犬の時期を迎えると、また飼い主同士の意識とか悩みが、交錯してきます。
「うちの子と、あと何年一緒にいられるのかな?」
そんな風に考え始める時期が来ると、よそのうちの老犬が、まるで我が子のように心配になってくるのです。

 

うちの子が旅立つまでのこと
うちの子がいなくなってから

本作 MATANE『君が旅立つまでのこと』は、そんな共感の時期の中でも、愛犬の闘病と別れを中心に、飼い主の視点でまとめたエッセイです。
上記の6つのカテゴリー分けで言うと、『うちの子が旅立つまでのこと』 と 『うちの子がいなくなってから』 が本作に当たります。

 MATANE『君が旅立つまでのこと』は冒頭の1章から2章で、闘病と看取りについての考え方を全体的にまとめ、3章では筆者と愛犬ピーチーの、実際の闘病記をケーススタディにして、闘病に関する考え方を書いていきます。具体的には 胆管閉塞闘病記劇症肝炎闘病記 がそれです。
そしてその次の4章は、愛犬ピーチーの看取りの記録 肺がん闘病記。続く5章がピーチーを看取ってからのことを記します。

そして6章以降は、筆者と同じく愛犬を看取った多くの飼い主さんたちの体験談を記していきたいと思っています。

 

うちの子がうちにくるまで
うちの子がうちにきてすぐ 
もう一度、うちの子がうちにくるまで

なお上記の共感の時期にある、『うちの子がうちにくるまで』『うちの子がうちにきてすぐ』『もう一度、うちの子がうちにくるまで』は、別サイト Withdog『犬を飼うということ』の中で、特集の連載記事になっています。あわせてお読みいただけましたら幸甚です。 

うちの子がうちにくるまで|第1話

昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。

うちの子がうちにきてすぐ|第1話

普通の飼い主は、しつけのベテランには、なかなかなれないもの。
犬を飼うたび、毎回が新米飼い主。
だから起きる事は、毎回新鮮です。
飼ってすぐのドタバタというのは、振り返ると思い出深いもの。
今回は、トイレのしつけのお話です。

もう一度、うちの子がうちにくるまで|第1話

この作品の作者は、一見屈強で男の中の男と言うイメージ。
しかし作者は、先代犬のバーディーを亡くし、毎日泣いて暮らしていました。
そんな作者に、新しい出会いの時がやってきます。
さて、新しい子は、どのようにやってきたのでしょう?

――つづく――

記述に関する注意書き

本作は、筆者が3年前に執筆した”ピーチーの闘病記”からの転載記事が含まれます。
闘病記に於ける筆者の呼称は、”僕” となっている個所があり、記事によっては”筆者””僕” が並立するページがあります。
これは執筆当時の臨場感を残すための措置であり、敢えて呼称を統一しておりません。予めご承知おきください。

この記事について

作者:高栖匡躬
 ▶プロフィール

表紙:ピースさん(飼い主:あみママさん)

――次話――

朝早くに、或いは夕方に、我々はよく犬の散歩とすれ違います。
決まった時間に必ず会う子もいれば、週末には見たことのない犬たちもいる。
我々の周囲には、どれくらいの犬がいると思いますか?
最新の犬の登録数は600万頭を越えているそうです。

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――前話(前書き)――

”またね” はピーチーを送るときに、最後に掛けてあげた言葉。
サイト名でありながら、作品名でもあります。
別れの挨拶なのに、再会を期待させますね。
愛犬を看取った方々と、思いが共有できると嬉しいです。
まずは、前書きから

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この連載の初話です
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